パワハラ訴訟(不法行為等を理由とする損害賠償請求)の事案概要


被告Xの不法行為(その1)


教団の幹部教職者である被告Xは、被告卞の指導原理や教義に忠実で、職務上優位な地位を利用して原告に陰湿な嫌がらせを続けた。

(1)200回のスクワット
平成14年6月ころ、原告はつくば市内の住所地から当時被告Xが管理責任者であった 教団の東京西部のチャペルまで遠路通勤して宣教事務に従事していた。 ある日、原告がスタッフとミーティングを始めると、被告Xが大した理由もなく、急に激怒し、 原告らにスクワット200回を命じた。竹刀を手にピアノの椅子に座った被告Xは、 1回ごとに竹刀で床面を叩き、「時間」「管理」と叫ぶよう命令した。 100回目あたりで原告が余りの苦痛に「ふざけんな」と言うと、被告Xは怒りもあらわに 「最後までやれ」と怒鳴り、続けさせた。聖書を引用して「聖なる怒りだ」と言い放った。 原告は数日間、膝を曲げると激痛が走るほどだった。 被告Xは礼拝中に「講壇が汚い」などと怒鳴って礼拝を中止することもあり、 原告は被告Xを非常に恐れるようになった。

(2)密室で延々と脅し
平成18年5月初旬ころ、教団の伝道師になっていた原告は教団の東京都内のチャペルで 被告Xの直接の指揮命令下で、東京都内のチャペル内にある共同生活施設の寮長として、 家族と共に住み込みで働くように命令された。 精神的、肉体的疲労で3階の部屋で休んでいると、被告Xがドアの外から怒鳴り声で 原告を呼びつけた。また叱られるのかと恐怖を感じながらドアを開けると、 被告Xが怒りの表情で「牧師室に来るように」と命じた。 牧師室に入ると、被告Xは「私の言葉ひとつでお前をつくばにでもどこでも行かせることが 出来るんだぞ」と怒鳴り、脅迫混じりの説教を1時間半以上も続けた。 原告は全身がこわばり手に汗して、ただ「はい」と返事をするだけだった。 部屋に戻っても原告は青ざめ、動転して取り乱した様子は原告の妻がよく記憶している。 原告は被告Xを益々恐れるようになった。

(3)寮生や外国人牧師の面前で罵倒
同じ平成18年の夏ころ、東京都内のチャペルではセミナリー(神学校)の特別講義で来日した 韓国人牧師を都内の共同生活施設の夕食会に招き、寮生の手料理で歓待した。 被告Xは食卓に着くなり寮生や韓国人牧師の面前で「こんな学食みたいな料理が食えるか」と 原告を罵倒、「キムチは」「海苔は」と怒鳴りつけた。寮生はキムチを取りに走り、 被告Xが海苔を持ってきた。原告は屈辱とショックで声もなく呆然と立ちつくしかなかった。
同じ年の7月、スイスから宣教チームが来日しイベントが東京都内のチャペルであった時も 被告Xは客人の面前で、客人の席にはランチョンマットや飾りがあったが、 被告Xは主催者の自分のテーブルにはないと「なぜ私がこの席なんだ」 「もっと豪華な料理が出来なかったのか」と公然と不満を言ったため、歓迎ムードではなくなった。 歓迎会準備責任者であった原告は、恐怖と屈辱で体が震えた。精神的ストレスが蓄積した。

(4)深夜に呼び出し、怒鳴りつける
平成18年の夏、原告は東京都内のチャペルでセミナリーの教務や共同生活施設の 責任者の業務に就いていたが、被告卞の指示で9月から中国の上海に行くことになった。 渡航費などが自費のためアルバイトで工面しなければならず、新たなストレスと プレッシャーが加わって疲れきった。 原告の妻も子育てと慌しい共同生活施設での生活で体調を崩していた。 疲労困憊状態だった8月のある日、深夜11時半頃に3階の部屋で寝ていた原告の 携帯電話のメール受信音が鳴った。被告Xから「何をやってるんだ」と怒りのメールだった。 1階まで駆け下りると、被告Xが物凄い形相で立っていて「1階と2階の電気つけ放しじゃないか。 最近の○○(共同生活施設の名称)は、どうなってるんだ」と睨まれた。消灯時間が過ぎていたが寮生が勉強していた。 「すぐ消します」と言ってその場を離れたが、心身ともに疲弊していた原告には衝撃が大きく、 そのころから心に悲しみが溢れて無気力になっていった。


<< 前のページ [   4    ] 次のページ >>

HomePage Top