モルデカイの会で、民事裁判第2審判決要旨を作成しました。
控訴審判決は、第1事件、第2事件、第3事件のいずれについても、
原判決(第1審判決)を支持しているので、基本的には原判決の判決理由をそのまま引用している。
控訴審において原判決の判決理由を変更した主要部分(東京高裁の判断)をまとめて要旨とした。
●クリスチャントゥデイ
●キリスト新聞
●クリスチャン新聞WEB版
※判決の主文は、こちら(PDF)
※裁判の内容は、こちらの表(PDF)を参照ください
※성명문 한국어 (声明文 韓国語) PDF(Korean) ※Statement (声明文 英語) PDF(English)
2015年7月29日
モルデカイの会 (宗教法人『小牧者訓練会』
による被害の回復を目的とする裁判の支援会)
代表 加藤光一
2015年7月29日、東京高裁・第1民事部(石井忠雄裁判長)は、小牧者訓練会代表・卞在昌(ビュン・ジェーチャン)(以下、「ビュン」という)の関わる、第1事件(セクハラ裁判)、第2事件(パワハラ裁判)および第3事件(名誉毀損裁判)について、いずれも第1審判決を維持したうえで、「控訴棄却」の判決を言渡しました。
【セクハラ裁判】
直接証拠に乏しいセクハラ裁判において、第1審に続いて第2審(控訴審)においても、第1審原告4名が長期間にわたり反復継続して第1審被告ビュンから不法行為(セクハラ(猥褻)行為)を受けてきた被害が認容され、ビュン個人と教団に賠償責任が認められた点で、私たちは今回の判決をきわめて高く評価しています。今回の控訴審判決は、第1審判決よりもさらに踏み込んだ形でビュンの不法行為の悪質性を指摘し、「第1審被告ビュンの行為は原告らの性的自由および人格権を侵害した違法な行為」とあらためて認容しています。また、多くの客観的証拠をもとに、ビュンを中心として権威主義的な運営がなされている教団において、ビュンがその地位を悪用して第1審原告らにセクハラ行為を繰り返したことがあらためて認容されたうえ、第1審に続いてビュン個人のみならず教団にも賠償責任が課せられたことは、組織としての教団の在り方が弾劾されたことをも意味しています。
このように、今回の判決が、第1審判決と同じく、教団およびビュン個人による特異な権威主義的教会運営が事件発生のメカニズムであるとし、それを許した教団の風土を明確に弾劾した点を、私たちは大いに評価しています。加えて、加害者であるビュンの性癖について「被告ビュンと女性信徒らとの距離が不自然なまでに近かったことがうかがいしれる」とし、ビュンの女性信徒らとの日常的な身体的接触(口へのキスやハグなど)は一般社会の許容範囲を超えていると指摘した第1審判決が認容されています。
何よりも、今回の判決において、ビュンの不法行為(セクハラ行為)が改めて認められたことにより、第1審原告らの人権が守られたことを、私たちは率直に喜んでいます。この事件によって受けた原告らの心の傷も癒されると信じています。
【パワハラ裁判】
パワハラ裁判については、第1審原告の請求には理由がないとしてその訴えが棄却されたことは大変残念に思っております。これについては判決内容を精査し、今後、上告するか否かを検討する所存です。
【名誉毀損裁判】
「セクハラ裁判およびパワハラ裁判における第1審原告らの被害主張はすべて虚偽でありこれらの公開等によって名誉を毀損された」との、ビュンおよび教団の請求には理由がないとして控訴を棄却した今回の判決は妥当なものだと、私たちは考えています。
一連の民事裁判が提起されてから、すでに6年が経過しています。ビュンのみならず教団は、今回の控訴審判決でセクハラ裁判(第1事件)および名誉毀損裁判(第3事件)のいずれにおいても敗訴したことを真摯に受け止め、自らの非を認めてすみやかに謝罪し、贖罪責任を果たしていただきたい。そのことこそが、セクハラ被害を受けて長い間苦しんで来た被害者やご家族の方々の心の癒しと権利の回復につながるものであります。
私たちは、法廷の場で真摯に原告らの人権を粘り強く擁護してこられた弁護士の諸先生方、祈りと献金によって長期間にわたって一連の裁判を支えてこられた支援者ならびに超教派の牧師の方々に深甚の謝意を表します。
今回の判決が先例となって、牧師の権威を強調するあまり同じような悲劇を招いている日本の一部のキリスト教会における同種事件の被害者が広く救済され、その人権が回復されるよう、私たちは警鐘を鳴らし続けて参ります。
以上