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2011年5月20日
モルデカイの会 (宗教法人『小牧者訓練会』
による被害の回復を目的とする裁判の支援会)
代表 加藤光一

2011年5月20日、水戸地裁土浦支部(神田大助裁判長)は、 準強姦事件(平静22年(わ)第73号)被告人の宗教法人「小牧者訓練会」 代表者・卞在昌(ビュン・ジェーチャン)に対して、無罪判決を言い渡しました。

私たちは、この判決をきわめて残念な結果だと考えています。 特に、この判決では「被害者証言が確たる信用性を備えているとは言い難い。」として 被害の認定に至らず、有罪の実刑判決が得られなかったことで、 被害者の人権が守られなかったことが残念です。 この事件によって受けた被害者の心の傷も癒されることがありません。

今回のような、密室内で起き、物的証拠に乏しく当事者の一方である容疑者が 容疑事実を認めない事件では、弱者である被害者の受ける圧迫感は想像以上に大きく、 特に法廷の場で正しく自分を主張してゆくことは大きな負担を伴います。 訴えても何の利益にもならず、かえって自らのプライバシーを公にさらしてしまいかねない 危険を冒してまで被害を訴える被害者の声に真摯に耳を傾け、 真実を探る一段の努力がなされてしかるべきではないでしょうか?

また、卞被告人の当日のアリバイが成立するという被告人側の主張に沿った 今回の判決には納得できません。 そのアリバイを裏付けるとして被告側から提出された証拠の持つ不自然さについて、 徹底的かつ十分な審査がなされなかったことを残念に思います。

本事件発生の背景には、国際福音キリスト教会の主任牧師である卞在昌宣教師が 自らを霊的指導者であるとしてその絶対的権威を説く権威主義的な教会管理・運営があります。 その絶対的権威を利用して主任牧師が「準強姦」を含む多くの不法行為を繰り返し、 被害を被害と思わせず、逆に、訴えること自体が罪であると被害者に信じ込ませて、 これらの被害事実を隠蔽してきたことが、本事件の発覚を遅らせ、被害を拡大しました。

本判決では被害者が主任牧師に逆らうことで神に見放されると信じ込むに至り、 抗拒不能状態に追い込まれたうえ、反復継続的に被害を受けるに至った心理的な過程や 心の葛藤などの解明に踏み込まなかったことに対して、残念に思います。

第一審では有罪の実刑判決を勝ち取ることは出来ませんでしたが、 本事件を起訴に持ち込み、公判維持に全力を挙げられた検察庁・つくば警察署はじめ 関係各位のみなさまのご努力に感謝し、心から御礼申しあげます。 検察庁には、被害者の人権回復のために、そして真実の解明のために、 ぜひとも控訴することを望みます。

本刑事裁判の結果如何に拘わらず、同時に進行している 民事裁判(「セクハラ民事裁判」(2009年7月29日セクハラ訴訟提訴)および 「パワハラ民事裁判」(2009年12月15日パワハラ訴訟提訴)。いずれも、東京地裁民事部。原告5名。) において、卞在昌被告および教団は民事上の責任をすみやかに認め、 贖罪の義務を果たすべきであると考えています。

モルデカイの会は、これからも本事件の被害者を全面的に支援し、 民事裁判での勝訴を勝ち取ってゆき、主任牧師の権威を強調するあまり 同種の悲劇を招いている日本の一部の教会に対して警鐘を鳴らし続けて参ります。

みなさま方の、ますますのご支援をお願い申しあげます。

以上

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