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刑事裁判(平成22年(わ)第73号)第1審判決に対する検察庁の「控訴断念」決定を受けて

2011年6月3日
モルデカイの会 (宗教法人『小牧者訓練会』
による被害の回復を目的とする裁判の支援会)
代表 加藤光一

水戸地裁土浦支部所管の準強姦被告事件(平成22年(わ)第73号)被告人・卞在昌(ビュン・ジェーチャン)への無罪判決に対して、水戸地方検察庁は、デジタル写真証拠を覆すだけの新たな証拠の出現が期待できず、裏付け捜査にも限界があることを主な理由として、「控訴断念」の決定をしました。

この決定に対して、私たちは以下の理由により、強く抗議します。

(理由1)
本件が「準強姦」被害であるのに「強姦」被害同様の判断をし、被害者がまるで被害について嘘を言っているかのような印象を与える不当な判決の根本的な誤りをただす機会を失ったこと。

(理由2)
訴えても何の利益にもならず、かえって自らのプライバシーを公にさらしてしまいかねない危険を冒してまで被害を訴える被害者の声に真摯に耳を傾け、真実を探る一段の努力をすべき機会を失ったこと。

(理由3)
刑事裁判によって被害者の人権が回復される道が閉ざされ、この事件によって受けた心の傷が癒される機会を失ったばかりではなく、正義と不正義とが逆転したことにより被害者が深刻な二次被害を受けたこと。

(理由4)
本事件発生の背景にある権威主義的な教会運営、風土の解明に踏み込まなかった検察の立証方針に大きな問題があったこと。

(理由5)
デジタル写真のアリバイ証拠としての評価法則に上級審で一定のルールを設ける機会を失ったこと。

本判決が確定することによって、同種の犯罪被害者が警察に告訴することを躊躇し、結果的に弱者救済の道が閉ざされることをおそれます。今回の事案は、デジタル写真がなければ有罪の可能性が極めて高かった事案であり、今後、同種の事件が警察に相談として寄せられた場合、今回の判決に臆することなく加害者を取り調べ立件するよう、警察に強く求めます。

モルデカイの会は、もと国際福音キリスト教会員であった、複数の被害者が東京地裁民事部に提訴している民事裁判(「セクハラ民事裁判」および「パワハラ民事裁判」。原告計5名。)において、今後も被害者を全面的に支援し、勝訴を勝ち取って参ります。

以上

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