裁判とは?:Q&A

(モルデカイの会:2015年8月31日 改訂版)

(準強姦の)「刑事裁判」では、被告人ビュン無罪の判決だったけれど、 なぜ「民事裁判」では、逆に、セクハラ被害を受けた女性たちが勝ったの? どうして何回も裁判するの? ――  このような、みなさまから頂いた裁判に関するさまざまな疑問にお答えするため、 セクハラ事件(第1事件)に関連したQ&Aを作りました。 エステルの質問にモルデカイが答える形です。  → PDFはこちら


エステル:刑事裁判とは、どういうものなの?

モルデカイ:刑事裁判は、国家機関(警察、検察)が事件を捜査、 立件して、裁判所が被告人を裁くもので、有罪となれば罰金や懲役刑が科せられるんだ。


エステル:民事裁判と、どう違うの?

モルデカイ:民事裁判では、ある人(法人)の行為によって 損害が生じたかどうかが争われるんだ。 民事裁判の訴えは誰でも起こすことができるんだよ。 相手方の不法行為に対して、被害の認定や損害賠償などを求める ケースが多いね。訴えた方を原告と言い、訴えられた方を被告と言うんだ。 双方が提出する書証や法廷での尋問などをもとに、裁判所が総合的に審議して、 被告に損害賠償を命じたり、原告の訴えを棄却(却下)したりするんだよ。


エステル:この事件の刑事裁判では、何が裁かれたの?

モルデカイ:民事裁判の原告のひとりであるCさんに関して、ある特定の日時のひとつの事件(準強姦事件)について裁かれたんだ。


エステル:刑事裁判では、なぜ無罪判決が言い渡されたの?

モルデカイ:事件のあったとされるある特定の時間帯について、 被告人ビュンにアリバイが成立する可能性が あったため無罪とされたんだよ。


エステル:「疑わしきは罰せず」ということなのね。

モルデカイ:うん。「疑わしきは被告人の利益に」とも言うよ。 刑事裁判では犯罪行為の認定がとても厳密で、 いつどこで誰が何をしたのかを証明する明らかな証拠がないと、 被告人を有罪としてはならないんだ。 限定された証拠をもとに、少しでも被告人にアリバイ成立の 可能性があるという場合には無罪にしなければいけないんだ。


エステル:ところで、この刑事裁判では、Cさんが受けた その他のセクハラ被害やAさん、Bさん、Dさんたちの受けた セクハラ被害については、審議されたの?

モルデカイ:刑事裁判では、それらについては 対象外なので全く審議されていないんだ。


エステル:民事裁判では、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんのセクハラ被害がすべて審議されたの?

モルデカイ:そうだよ。民事裁判では(第1審、第2審ともに)、 Aさん、Bさん、Cさん、Dさんのすべてのセクハラ被害について、 刑事裁判と比較してはるかに膨大な書証(証拠書類)や本人および証人を含む 合計17名の尋問の結果(尋問調書)を基に、それぞれ3名の裁判官が 審議したうえで第1審、第2審の判決が言い渡されたんだ。 民事裁判では、裁判所がさまざまな証拠や証言を総合的に評価した結果、 ビュン被告と教団に不法行為があったと認めたんだよ。


エステル:今回の民事裁判(セクハラ裁判)では、結局、何人の人たちの、何件のセクハラ被害が認められたの?

モルデカイ:第1審、第2審のいずれでも、Cさんの刑事裁判の1件を除く、4人の原告(Aさん、Bさん、Cさん、Dさん)の合計70件のセクハラ被害が認められたんだ。


エステル:今回の民事裁判の第1審と第2審とはどう違うの?

モルデカイ:東京地方裁判所で審議して判決を下した裁判が、今回の事件の第1審なんだ。第1審判決に不服として、第1審ビュン被告が上級の裁判所(東京高等裁判所)に訴えて、あらためてその判断を仰いだ裁判が第2審で、控訴審とも言うよ。


エステル:第2審では、何を審議して判決が言渡されたの?

モルデカイ:第1審の判決書およびすべての書証(証拠種類)や尋問調書などに加えて、第2審で双方から提出された控訴理由書、控訴答弁書、双方から新たに提出された書証などをもとに審議のうえで、第2審の判決が言渡されたんだ。すべての証拠に基づいて、第1審と同じく、第2審においても第1審ビュン被告のセクハラ不法行為が認定されたと言うことだよ。


エステル:裁判所が認めたビュン被告のセクハラ不法行為とは何なの?

モルデカイ:第1審判決の主文や判決理由をそのまま認めたうえで、第2審判決では、第1審ビュン被告の不法行為について、「ビュン被告は、被告教団の主任牧師であり、最高位の霊的指導者としての立場を利用して、自らの要求に応じることが神の奥義であるかのように指導し、原告(Aさん、Bさん、Cさん、Dさんのすべて)がビュン被告に抵抗することが困難な心理状況にあることに乗じて、性的意図に基づき各セクハラ行為に及んだ。」と、第1審よりもさらに踏み込んで判断したんだ。


エステル:そうなの。

モルデカイ:第2審判決では、 「原告(Aさん、Bさん、Cさん、Dさんのすべて)の 自由な意思に基づく同意があったと認めることはできず、 ビュン被告の行為は、原告の性的自由及び人格権を侵害した 違法な行為であり、不法行為が成立する。」と、 不法行為の中身について、第1審判決よりもさらに明確に 指摘したんだよ。


エステル:第2審判決に対して、第1審ビュン被告は控訴できるの?

モルデカイ:うん。控訴と言わず、上告と言って、第2審判決に不服の時は最高裁に訴えることができるんだよ。これを、第3審または上告審と言うんだ。


エステル:判決はいつ確定するの?

モルデカイ:第1審ビュン被告が最高裁へ上告した場合は、 最高裁の判断が出た時点で判決が確定するんだ。


エステル:よく分かったわ。

  • 「刑事裁判」では、ある特定の日時に起きたひとりの女性の1件の被害(準強姦事件)について裁判が行われ、被告人ビュンにアリバイ成立の可能性があったため、無罪の判決が言渡されたのに対して、
  • 「民事裁判」では、第1審、第2審のどちらも、刑事裁判と比較してはるかに多くの書証(証拠書類)をもとに4人の原告女性のセクハラ被害について審議された結果、(刑事裁判で審議された上記の1件を除いて)4人の女性の合計70件の被害についてビュン被告のセクハラ不法行為が認定されて、原告全員の損害賠償請求を認める判決が言渡されたと言うことなのね。

おわり

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